2006/11/20

見えない視線を感じて

(顔'sクラブ06年5月号より抜粋)

 近年、社会的にSOHO(Small Office Home Office)の仕事形態が増えているが、基本的にほとんどのワーカーは、自分の会社へ出勤し、仕事が終われば、家路に帰る。つまり、我社の社員の場合、みな通勤行為をしているわけだ。休みの日以外は、ほぼ毎日のように同じ行為を繰り返している。今回はそんな通勤にスポットを当てたいと思う。

 俺には、車・徒歩・自転車の3つタイプの通勤手段がある。
来年からはこれらにヘリコプターが増える予定だ・・・。(駐車場は屋上)。不覚にもこの冬は、毎日、車で通勤してしまった。05年3月に、運動不足のためにダイシャリンでリーチャ(自転車)を購入し、購入後は2日に1回は自転車通勤を実行した。にもかかわらず、この冬は、俺の中に潜む悪魔が「寒いぞ~」、「すべるぞ~」などと若手お笑い芸人には言ってはならないような禁句をささやくため、天使も「転んだら危ないよね」と納得してしまい、かくして俺は車のハンドルを握っていたわけ。

 毎日、車で同じような時間帯に、同じ道を通っていると、歩道側で毎回同じ顔に出会うことはないだろうか?

 俺はここ最近、歩道側の人々を意識するようになってしまっている(運転に集中しろ!)。
すれ違う人たちも、毎日同じ時間帯を同じ方法で同じ道を通っているのだから、同じ人間を目撃する確率は高くなる。
 いつも見かけるあの人とすれ違わない日は、「あの親父、どうしたのだろう? 風邪でもひいたのかな?」とか、「新しいジャンバーを買ったのね、超かっちょいーじゃん!」などとつぶやいている自分がいる。
 ついこの間は、いつも独りきりで自転車で通学している女子中学生(いじめにあっていると思われる)が、別の誰かと一緒に、楽しそうに自転車をこいでいる姿を目撃して、「彼女にも、ようやく友達ができたんだ。良かった!負けるんじゃないぞ! 君にも仲間がいるからね(TT)」と安堵で胸をなでおろしたりもした。
 極めつけは、久しぶりに徒歩で通勤した時のこと。向こうからいつも車で見かける親父が歩いてきた際に、思わず「どうも、おはようございま~す♪」と言いそうになっていた。もう言葉が喉元まできていたのだ(100%実話)。もうここまでくると病気に等しいよ。

 閑話休題。

 自転車での通勤の話をしよう。俺は自転車購入依頼、自転車の乗り方は、オシャレに「立ちこぎ」と決めている。信号待ちですら、決してサドルにはおしりを乗せないポリシーがある。
何でかって?  勿論、おしりを守るため。座ると時々痛いからだ。正直、サドルをはずして、座る部分を剣山型にしようかとも考えた。そうすれば、リーチャの盗難に合う心配もないだろうから・・・。でも気を抜いて間違って座ったとき、過去最高の出血大サービスになることは言うまでもない。
とにかくこの「立ちこぎ健康法」は、ぜひ参考にしてもらいたい。気分も爽快、ウィリーだってお手のもの。筋力アップも間違い無し!(しかし顔だけは小さくならない)

???・・・待てよ。ということは逆の心理で、俺の立ちこぎ姿を車の中から、毎日意識して見ている人間がいるのではないだろうか?

 ①ドライバーは車内から歩道の人を意識して見る
 ②自転車で立ちこぎをしながら歩道を走っている人がいる
 ③ドライバーは気になって迷わず自転車の方を見る
 ④その立ちこぎ姿が脳裏に焼きつく。

 ちょっと強引だが、こんな論法が成り立つのではないか!

 何と魅惑的な俺のおしりよ!
 いつも周囲の目線を独占している叶姉妹の気分で、明日から自転車通勤をしようではないか!
おしりをフリフリしながら、立ちこいでやる!!!

 何気ない通勤であっても、様々なドラマはあるのですね。しかし、どんな通勤方法であっても、無事に会社(家路)につくことが何よりの喜びである。

「遠足は、家に着くまでが遠足ですよ!」 by 松本人志
 

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